金融先進国の香港やシンガポールは別として、
・日本と
韓国、マレーシアの外貨両替レート比較
・日本の海外送金ビジネス参入への障壁
・マネーローンダリング対策は口実?についてまとめ、日本の金融機関の海外送金ビジネスの現状について考えます。
結論として
日本の金融機関、日本の監督官庁や法体系は、
・世界の主要国?と考えたくなる割高な手数料を取る
・海外送金ビジネスの参入に障壁を設けている
・マネーローンダリング対策を口実に顧客に不便を強いているしくみになっているといえます。
これらは尖閣諸島問題のビデオ流出のような問題ではないので、
国民はその実態を知る権利があると思います。
T.世界の主要国?と考えたくなる割高な手数料〔韓国シティバンクとの比較〕
韓国のシティバンクはすべての取扱通貨の手数料として
・
TTレートについては仲値に
1%の上乗せ
・外貨
現金の両替は
2%の上乗せ
になっています。(下の画像:クリックで拡大)
※2010年11月11日
韓国シティバンクのレートより計算
日本の一般的な銀行の外貨両替手数料を韓国の計算方法に当てはめて
韓国と日本の外貨両替手数料を比較すると以下のようになります。
(日本のレートは2010年11月11日三菱東京UFJ銀行のレート)
米ドル(仲値82.20円) ・・・TTレート:韓国0.82円・日本1円
現金:韓国1.64円・日本
3円ユーロ(仲値113.21円)・・・TTレート:韓国1.1321円、日本1.5円、
現金:韓国2.642円・日本
5.5円ポンド(仲値132.56円)・・・TTレート:韓国1.3256円、日本
4円 現金:韓国2.6512円・日本
12円カナダドル(仲値82.09円)・・・TTレート:韓国0.8209、日本
1.6円、
現金:韓国1.6418円・日本
8.6円スイスフラン(仲値84.69円)・・・TTレート:韓国0.8469円、日本0.9円、
現金:韓国1.6938円・日本
4.9円オーストラリアドル(仲値82.34円)・・・TTレート:韓国0.8234円、日本
2.0円、
現金:韓国1.6468円・日本
10円日本の外貨両替手数料は仲値(基準レート)に一定幅のレート上乗せされますが、
きっと大昔のもっと円安だったときのままなのでしょう。
(円高になった今の手数料負担率は以前より大幅に重くなっています。
)
〔
マレーシアのCIMB銀行の両替レート(2010年11月11日)〕
外貨両替手数料率にばらつきはありますが主要国通貨に対しては
・
TTレートは仲値に約
1%の上乗せ
・外貨
現金の受け取りは約
2%の上乗せ
となっています。(下の画像〔3分割〕:クリックで拡大)
日本の金融機関が取るほどの割高な手数料は、
パキスタンやバングラディシュなどの通貨に対してのみです。
(外貨両替業者の中にはさらに低い手数料率で外貨現金両替をしています。)
U.海外のお得な外貨両替・海外送金業者が、国内送金で顧客からの送金を
受取れる口座を持ちにくい。日本は数多くの規制のたあるため、海外の金融機関が
日本で顧客からの国内送金扱いで受取る円預金口座を持ちにくい
のが現状です。
さらに資金決済法が施行されましたが、
海外送金の自由化は送金額100万円までしか適用されません。
顧客は割高な海外送金手数料や円建て送金手数料を払う必要があり、
海外送金・外貨取扱業者間の競争が阻害され、
よって手数料は割高なままです。
マネーローンダリング対策が必要なら、
海外業者がその口座で受取るさいに確認すれば良いはずです。
〔その例〕
1.カレンシーオンラインの場合、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、
イギリスならネットバンキングを利用してカレンシーオンラインに国内送金でき、
あとはネット上の手続きだけで海外送金できます。
(一定額未満、複数回の海外送金では千円程度の手数料を取りますが、
この会社は基本的に日本より割安な両替時の収入だけで経営しています。)
2.アメリカなどは銀行口座からPayPalに入金(つまり国内送金)できますが、
日本ではクレジットカードからの入金しか認められません。
→ 世界の PayPal サービス ※国名を選べます。
その他情報 Paypalは実はまだ日本に『来ていない』 – その根拠と裏事情とは
V.
マネーローンダリング対策は口実?アメリカの監督機関は
・銀行を利用した海外送金
・PayPalによる海外送金
を監視しているようです。
参考サイト
マネー・ロンダリング入門 〜海外送金 投資一族のブログより
スイフト機構を通した海外送金はすべてチェックされている!
参考情報
朝山貴生さんのツイッター 2010年10月28日
PayPalでマネーロンダリングしようとするのはよほどのおバカさん?
つまり、日本の銀行窓口で海外送金するときに
・送金目的の確認 ・お金の出所(預金口座の資金明細など)
を確認するだけでなく、幾つかの銀行は
・留学生の学費・・・学校からの請求書、メールのやり取りの記録
・不動産などの購入・・・購入証明、契約書
などの情報を要求しますが、
アメリカではもっと有効な方法で資金の流れを監視しているわけです。
日本の金融機関の行き過ぎた『マネーロンダリング対策』に
実際にはどれほどの意味があるのかと思います。。
参考サイト All About プロファイル
海外送金のススメ マネーロンダリング対策を口実にしたメガバンク担当者の自己保身?
以上、日本の金融機関の
・日本円と比較して信頼度が低い通貨国より高い外貨取扱手数料
・海外のお得な外貨両替・海外送金業者へ入金するための
日本の国内口座が利用しにくい金融関係の法体系と管理システム
・マネーローンダリングを口実にした必要以上と思える確認
について説明しました。
日本の金融機関は、競争相手を締め出すようにして
高い手数料を取っています。
日本の競争力低下が取りざたされていますが、
日本の個人向け海外送金システムは、
海外旅行や海外送金が特殊な人だけを対象にした
『時代劇の関所』のような古いシステムのままと感じます。
このブログでは
・FXを利用した外貨両替
・各種手数料のお得な外資系銀行
・海外の外貨両替・海外送金専門業者
の紹介をしています。
海外送金や外貨両替のキーワードで検索すると銀行以外に驚くほど
いろいろなサイトが見つかります。
さらに幾つかの金融機関が新たに海外送金、割安な外貨現金サービスを
始めていますが、それだけこのマーケットが美味しい証拠でしょう。
インターネットが使えない人のための海外送金サービスは残すとしても、
日本の金融機関の海外送金ビジネスも撤退するところは撤退して、
ふさわしいサービスを提供するところが生き残る時代にになってくると思います。
【追加情報】JTBが、2010年12月1日から、
Money Tのサービスを始めます。
しかし
・さまざまな名目の
手数料 ・外貨両替手数料は米ドルレートに
4%上乗せ
が、気になります。
(下の画像:クリックすると拡大)
→ JTB Money T
手数料一覧2015年には100億円の取扱いを目指すとのことですが、どのくらいの利用に
なるでしょうか。
〔参考情報〕
JTBのMoney Tは、スルガ銀行VISAデビット(外貨両替手数料1.63%)と比べると
大幅に割高な外貨両替手数料がかかり、シティバンクキャッシュカード(約5%)、
新生銀行カード(4%)と同程度です。
そして手数料は210円(シティ)か無料(新生)です。
関連情報 国際キャッシュカードは便利でもお得ではない!