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質問9
海外在住(時には永住組)です。親から家を購入する資金を援助してもらいたいのですが、税金はかかりますか?
答え:
最近、日本に住む親から海外在住の子供への贈与、特に
『海外で家を建てるとき親から援助してもらうと、贈与税がかかりますか?』
という質問をよく受けますので、税務署の税務相談コーナーに確認してみました。
結論は、基本的に海外在住者には日本の贈与税はかかりません。

相続税法
第1条の4 次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、贈与税を納める義務がある。
一 贈与により財産を取得した個人で当該財産を取得した時において
この法律の施行地に住所を有するもの
しかし、『当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの』
という部分について、税務署の判断が重要になります。
国税庁が贈与税がかからないと判断するのは、
親子とも5年以上 の海外在住者 とのことです。
[追加情報]
国税庁HPより No.4432 受贈者が外国に居住しているとき
ここに書かれていますが、受像者(たいてい子供)が5年以上海外在住であっても
贈与者が日本国内在住なら、子供は贈与税を払わなければいけません。
関連情報 海外送金と日本の相続・贈与税
しかし、海外在住が 5年未満 でも
贈与税がかからない方法があります。

これから、
・5年以上海外在住であっても注意すること、
・5年未満の海外在住でも贈与税がかからない方法
についてそれぞれ説明します。

基本的に贈与税はかかりません。
しかし、注意したいのは、
・『生活の場が海外にあり、居住用の住居がある。』ことが求められます。
当然ですが住民票は日本にはないでしょう。
※親族に会うためなどで日本に一時的に帰国しても
生活の場が引き続き海外にあるなら問題はありません。
ということで、お住まいの国での税金だけが問題になります。

基本的に贈与税の対象になります。
贈与税については以下の情報をご覧ください。
国税庁HP 贈与税がかかる場合 贈与税の計算と税率(暦年課税)
※2007年、海外在住の
・ハリーポッターの日本語翻訳者に日本の所得税をかけられた。
・武富士のオーナー一族の相続税がかからなかった。
ことが話題になりました。
関連情報 暮旅(相互リンク先)さんの日記
海外移住と税金(明暗を分けた1715億円と36億円)
マレーシアなら相続税は非課税か?
しかし、相続時精算課税 という制度があります。
相続税がかかる心配がない!親御さんなら、贈与税を回避できます。


[参考情報]
相続税は、親御さんの亡くなったときの遺産を評価しますので、
株式や土地などが値上がりした場合事情が変わるかもしれません。
しかし、相続税には贈与税と比べて多額の控除がありますので少々の財産では税金はかかりません。
詳しくは税務署におたずねください。
しかし、いくつかの条件があります。
[制度を利用するための条件]
1.贈与の年の1月1日現在、贈与者は65歳以上の親、
受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子でなければいけません。
※詳しい情報は、国税庁HP 相続時精算課税のあらまし をご覧ください。
2.控除額は2,500万円です。
必要な手続きをすると、親から贈与を受けても(住居用不動産に限りません)
合計2,500万円までなら贈与税を納める必要はありません。
基本的に贈与税は、贈与を受ける側が支払う税です。
しかし、最近は日本の財政が苦しくなっていますので、税務署の対応も変わり厳しくなっていくと思われます。



また、この記事は日本の贈与税だけを取り扱っていますが、お金に関することは
贈与を受ける子供が在住する国の税制、日本と租税条約を結んでいるかにも十分な配慮を払ってください。

[参考情報]
相続税がかからない財産額は、
・配偶者(夫から見れば妻、妻から見れば夫)がいるかどうか
・相続人(子供、子供が亡くなっているなら孫など)の人数
・その他の条件
により変わります。詳しくは税務署におたずねください。
[追加情報]
購入する住居用不動産が日本国内なら、親が65歳未満でも可能です。
また別途1,000万円の特別控除という制度がありますが、
日本国内の居住用不動産が対象でこの記事の内容には沿いません。
関連情報
国税庁HP 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例(相続時精算課税)
まとまった円資金を外貨に両替するとき、
FXを利用したり、外貨建MMFを利用するとけっこうな節約

[一例:5万ポンド(1,000万円余り)の両替手数料の比較]
一般銀行 20万円 外貨建てMMF 5万円 FX(コンバージョン) 1万円
詳しくは、
マネーパートナーズのコンバージョン
外貨建MMFの利用 (外貨受け渡しの利用)
をご覧ください。
この記事は2008年3月現在の税制に従って説明しています。
税務署によって判断が変わったり、今後税制が変わることもありますので、
実際に利用されるときは必ずお近くの税務署に確認してください。
→ 国税庁HP 国税局・税務署を調べる。
うちのサイトでもコメントさせていただきましたが、こちらにも書き込みしておきますね。
海外での贈与についてですが、税理士でないので正確な返答はできせんが、CFPとしてのつたない知識の範囲内で返答させていただきます。
この場合の課税原則は、「親、子のいずれも贈与の直前5年間中、一度も日本の居住者にならなかった時にのみ、海外の財産が日本の贈与税の課税対象とならない。」ということだと思います。子だけ非居住者なら非課税になるのであれば、ご指摘のように日本からほとんどの財産が流失してしまいます。特にこんな時代ですと・・
もちろん税制が変更されているかもしれないし(私の知識は数年前のものです)、例外はあるはずですから、税務署の方が言っていることが、100%間違いとも言い切れませんが。
真剣に検討されているなら、税理士に相談することが必要でしょうね。
それから相続時精算課税制度ですが、一点注意したいのは、確かに一定の「贈与税」は非課税となりますが、その分は相続するときに、「相続税」としてとられるわけですから、決してその分得するというわけではありません。ですから相続時精算課税制度と言われるわけです。
土地や建物の贈与に同制度を利用すると、財産の評価額は贈与時に確定されるので、インフレなどで相続時の評価額が増大する可能性が高い場合は有利になりますが、逆の場合は損する可能性もある(結果的に高い評価額で税額を確定することになる。)ことでしょうか。
私は海外歴5年以上なのですが、この国ではホームローンが11%と高いので、親からお金を借りようと思い、贈与とみなされないために、借用書作成までしました。
ですが、結局は、親の名義で家を購入しました。
もちろん私達夫婦が住むのですが、家賃としてお金をこの国の銀行に預け、貯まった時点で親から買い取る、という形にしました。
消費税がかかりますが、贈与税に比べればかなり安いです。
まあ、こんな方法もある、ということで、ご報告いたします。
コメント、そしていつも有益な情報をいただきありがとうございます。感謝します。
税務署でも、必ず前もって相談してくださいといってました。(^_^.)
ところで、海外在住者の子供に相続時精算課税制度を利用して住宅購入資金を現金でわたした場合、評価は渡した現金なのでしょうか、購入した子供の住宅の相続時の評価(の一部?)なのでしょうか、ご存知でしたら教えてください。
でも、少なくとも1億円以上の資産を持つ人の悩みで、庶民は関係ないですね。(^.^)
サイトオーナーのkazuboyです。
どちらの国にお住まいか分かりませんが、海外でマイホームを持つのは大変ですね。
掲示板やメールでの相談が何件もありましたので、税務相談コーナーに問い合せたことをまとめた次第です。
税務相談コーナーの返答は記事の内容の通りです。
しかし、税務相談コーナーの担当者も実際に利用する前に必ず確認してください、とのことでした。
日本は財政が悪化しているので様々な方法で徴税を強化しているので、毎年のように税務署の対応も変わっていきます。
さらにお住まいの国の税制、日本との間で租税条約を締結しているかによって対応が違うかもしれません。
これからも利用されるなら、必ず日本の税務署とお住まいの国の税務当局、両方での確認をお願いします。
現金を贈与した場合は(使用目的が何であろうと)、評価額は現金ということでよろしいと思います。
暮 旅太郎