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2008年1月15日の日経新聞1面特集『YEN漂流』
−海外送金網からの孤立:仕送り鎖国の罪− の特集記事を読むと、
海外送金を取り扱う銀行の姿は、江戸時代の関所と同じで、
・昼間だけしか通行でない。
(=サービスの質が悪い。)
・いばった代官が高い通行料を取る。
(=高い手数料を取る特権があると思っている。)
のと同じで、
いずれは時代の変化に取り残されると思いました。
[記事の内容の要約]
・日本で働くインド人が毎日東京にあるインドステイト銀行まで出向く理由は、邦銀を利用すると1万円前後かかる海外送金手数料が4,000円程度で済むからです。
(インドの2006年の一人当たりGDP8.6万円程度と比べると、いかに高いかわります。)
・2006年世界の出稼ぎ労働者の海外送金総額は、2000年の2.3倍に達し、
同じ年の政府援助と直接投資総額を上回っています。
(個人の小口海外送金額は年々伸びています。)
・アメリカでは海外送金をスーパーやスタンドが副業で行い、
最低10ドル程度で海外送金できます。
(日本ではどうして何倍もするのでしょうか? また、夜間でもコンビニから公共料金を払い込むように海外送金できたら助かる人が多いと思います。)
※日本在住の外国人に役立つかも知れない情報が以下にあります。
スルガ銀行のVISAデビットカードには家族カードがあります! その2
・ペルー・中国などから日本に働きに来ている労働者にとって、
英語か日本語のみでしか海外送金できないことは大きなハードルになっています。
(将来の日本の労働力は不足するでしょう。それを埋めるため日本で働く外国人労働者はどのようにして故国の家族に送金するのでしょうか。)
今まで、
・日本人が海外送金するときの手数料が高い。
・海外送金を取り扱う金融機関のサービスが閉鎖的
なことをお話してきましたが、
日本で働く外国人にとっても日本の海外送金のしくみは非常に使いにくいことがわかりました。
海外からの観光客が多い地域や外国人の多い町では、
英語だけでなく中国語やハングル語、スペイン語やポルトガル語などの表示があり、
商店街や役所では簡単な会話程度なら出来る日本人もいますが、
銀行で英語以外を話す人が取引できるということをあまり聞いたことがありません。
このような状況は、日本では免許を与えられた銀行からしか海外送金できず競争がないためでしょう。
確かに日本の海外送金ビジネスは、金融機関の既得権益を守る形になっています。
海外送金を取り扱う銀行は、料金以外にも
・ネットを使った海外送金を取り扱わない。
・HPや電話相談への対応が整備されていない。
・窓口担当者はマニュアルに頼りで業務知識が不足している。
・(金融機関によっては面倒くさそうに対応する。)
と感じます。
それらすべては、競争にさらされていないためなのでしょう。
(的確で親切な対応に出会うこともありますが、そのような担当者はまれです。)
※競争が関係しているのでしょう、パソコンやプロバイダーの電話相談の対応はぐっと良くなっています。
海外送金ビジネスと同じ様な例を日本の航空料金にも見ることができます。
新規参入がほとんど無く競争がないためでしょう、ヨーロッパ・アメリカやアジアの格安航空会社と比べると、日本の航空料金は倍以上の料金だと感じます。
日本の航空会社のサービスは良いのですが、必要最小限のサービスさえあれば料金が半額の方が良いと思うのはわたしだけではないと思います。
(日本は空港の離発着手数料が高いので単純に比較できないとは言われますが。)
最近、日本では派遣社員の待遇格差について論議されています。
日本全体を考えると、既得権益にアグラを組んでいる正社員や会社ばかりになれば、日本には衰退と暗い将来が待っているでしょう。
同様に、海外送金ビジネスも江戸時代の関所のように既得権益に守られて変化を望まないなら、
いずれは競争に敗れ、海外の業者に仕事を奪われる日が来るかもしれません。
それはちょうど公共事業だけに依存した建設業者が衰退したのと同じでしょう。