まとまった金額のお金を海外送金するときの
税金について相談を受けることがあります。
わたしが知っている範囲ですが
役立ちそうな情報をまとめます。
○ まとまったお金を送金すると
税金がかからないか。
まず、お金を受け取った国での税金は
各自で調べていただくしかないことをお断りします。
〔追加情報〕
1.海外在住者の居住国での税金について
以下の情報をまとめています。
関連情報
『海外駐在・移住税務ハンドブック』の要約と追加情報
〃 各国編
海外の共同名義口座と日本の相続・贈与税
2.一時帰国に役立つ情報
関連情報
一時帰国したときに利用したいsimカードとレンタルWiFiルーター
参考サイト 海外在住者でもクレジットカード発行OKの条件
日本での税金については、自分のお金を
どのように自分の海外の口座へ送金しようと
(たとえまとまった金額でも)
それだけで日本の税務当局から
課税されることはありません。
(後ろめたいお金は別です。)
〔注意!〕
1.日本にある本人のお金を、海外の自分の口座へ
海外送金するときに、さまざまな都合で
親族などの名前の口座へ移動してから海外送金
することがあります。
その場合、贈与でないことを示す
お金の流れを示す書類や委任状を
用意しておきましょう。
そうしておくなら、税務署からおたずねが届いても、
贈与税の対称にならないことをすぐに説明できます。
2.海外で受取る口座が、共同名義や他人名義口座の場合、
注意が必要です。
関連情報 海外の共同名義口座と日本の相続・贈与税
国税庁HPより No.4432 受贈者が外国に居住しているとき
日本に在住していた親族が亡くなり
受け取った相続財産であっても、
相続の手続きをすませて受け取ったお金なら
海外送金しても問題ありません。
※亡くなった方の死亡を金融機関が知っていると、
すぐには引き出せないかもしれません。
しかし、金融機関から求められる手続き
(除籍謄本、遺産分割協議書の提出など)
を踏むなら引き出しに応じてくれるでしょう。
〔相続時精算課税について〕
親などからまとまった金額を贈与されると
贈与税の対象になります。
(贈与税の控除額は年間110万円)
しかし(2015年1月1日より)
・親が60歳以上
・贈与を受ける子や孫が20歳以上
で、親は相続税がかからない程度の資産なら、
相続時精算課税制度を利用して
実質的に2500万円まで非課税で贈与できます。
※相続時精算課税とは、現在の贈与を
相続時にまとめて精算する制度です。
詳しくは、国税庁HP
No.4103 相続時精算課税の選択を
ごらんください。
関連情報 国税庁HP 贈与税
※海外の不動産取得には、
国内不動産取得に対する
特例は適用されません。
〔参考情報〕
日本の相続税は、
2015年1月1日から基礎控除額などが引き下げられます。
・基礎控除 3,000万円
・法定相続人 一人当たり600万円
(ex.相続人3人なら1,800万円)
・配偶者 1.6億円か相続財産の半分まで
(※子供がいる場合)
くわしくは、
国税庁 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
(平成27年1月1日施行)をご覧ください。
次に、海外送金したお金から生まれる利益は
原則として現地国の税制に従うことになります。
そして、オフショアでの運用は、
現地国では非課税です。
しかし、当然ですが
日本在住者がオフショアで運用して得た利益は
総合課税の対象となります。
(日本国籍を持つ非居住者、非永住者、
永住者については税務署にたずねてください。)
※※運用会社の日本支社や日本国内の関連法人を通して
投資した場合,海外在住者にも20%の源泉徴収が
課される場合があります。
詳しくは税務署で確認してください。
○ 海外在住中に、
日本で発生する所得に対する税金
海外在住であっても、
日本で不動産所得や著作権収入などの所得がある方も
おられるでしょう。
また、日本と租税協定を結んでいる国もあります。
そのため日本と在留している国の間で
調整が図られることがあります。
しかし、それぞれの国が納税者から
さらに搾り取ろうかと狙っているわけです。
基本的には日本で発生した所得については
日本で税金を払ってくださいというのが
日本の税務当局の考えです。
日本の国税局は、海外在住者を
以下の3種類に分けており、
課税の仕方が異なります。
1.非居住者: 居所(住まい)が日本にない場合
2.非永住者: 居所(住まい)が日本にあり
過去10年さかのぼって
海外在住が5年未満
3.永住者 : 居所(住まい)が日本にあり
過去10年さかのぼって
海外在住が5年以上
つまり、
・日本に家がない場合は「非居住者」
・日本に家があっても
海外生活が5年以上かどうかによって、
「非永住者」と「永住者」に分けられます。
最近はロングステイがブームになっていて、
海外在住になると、公的年金については
源泉徴収をされずに受け取ることができます。
さらに、日本の年金所得に課税されないことが
メリットとなっている国もあります。
しかしその他の日本で発生する所得ついては
日本で納税する義務があることを忘れてはいけません。
一方で、海外への投資が盛んになり、
海外投資の勧誘も巧みになっています。
「小額づつ海外送金したら
税務署にわからないので大丈夫ですよ。」
などのセールストークを聞くことがあります。
しかし、その気になれば税務当局は
徹底的に調べることも可能です。
そのほか「うまく税金を逃れたけれども
そのお金を思うように使えない。」
などという笑えない話を聞くこともあります。
〔追加情報〕 海外送金.comより
海外資産5,000万円超への申告義務
平成25年12月末以降、
5千万円を超える海外資産を持つ人は
税務署への報告する義務があります。
税務署への申告漏れ・遅延・無申告のペナルティー
があるのできちんと対応しましょう。
海外投資でわからない点があるなら、
国税庁のHPにある電話やメール相談で
現在の税制を確認してから投資するくらいの慎重さが
必要かもしれません。
なお、最後にお断りしておきますが、
わたしは税理士ではありませんので
詳細は、日本の税務署や滞在している国の税務当局に
問い合せて確認してください。
このカテゴリーでは、海外在住者に役立つと考えられる
海外在住者と日本の年金
海外在住者の年金手続き.comの紹介
『海外駐在・移住税務ハンドブック』の要約と追加情報
『海外駐在・移住税務ハンドブック』の要約(各国編)
海外の共同名義口座と日本の相続・贈与税
について説明しています。
[参考情報]
相互リンクをいただいている「暮旅」の運営者
暮 旅太郎さんが少し前に
『海外移住と税金 (明暗を分けた1715億円と36億円)』
という記事を書いておられます。
その中で
・香港在住が認められ、武富士創業者の長男に
相続税の課税がされなかった。
・ハリーポッターの翻訳者に対してスイスではなく
日本で所得税を納めることが求められた。
2つの対照的な事件が扱っておられます。
この一件以来、日本の税務当局の対応が変わったようです。
そして、今後も日本の税務当局の対応は
変わっていくでしょう。
〔追加情報:現在の裁判所の判断〕
租税判例DB−Wiki H200123東京高裁判決2