ロングステイなどを含め
海外へ移住する人が増えています。
ところで日本国籍のまま海外在住を続ける限り、
どうしても日本の税金が関係します。
国税庁もさまざまな税金逃れを摘発しています。
→ 国税庁 税の役割と税務署の仕事
国際的租税回避行為への対応
※国税庁WEB-TAX TV
海外で活動する人が、
日本の税金、住む国の税制を知るため
「海外駐在・移住税務ハンドブック」を
税金に関する質問に回答してくださる田邊税理士が
紹介してくださいました。
(→ 海外送金.comスタッフ紹介より)
この「海外駐在・移住のための税務ハンドブック」は、
海外在住者に
・日本の所得税、相続・贈与税がどのようにかかるか
さらに
・アメリカ、イギリス、スペイン、カナダ、
オーストラリア、ニュージーランド、ドバイ、
インド、タイ、シンガポール、マレーシア、
ベトナム、インドネシア、香港各国での
所得税と相続・贈与税の取扱い
について詳しく説明しています。
各国別の情報は
海外駐在・移住税務ハンドブックの要約(各国編)
にまとめています。
このページでは、基本的な情報を確認できます。
【納税代理人について】
海外在住になる人の中には
・海外にでかけるまでに日本での未処理の税金
・日本に住民登録がなくてもかかってくる税金に対応する
ために、納税代理人を立てる必要があります。
特別な資格などは求められませんので、
(親族、税理士など)誰を指名してもかまいません。
所得税だけでなく、固定資産税などの税金についても
同じ人を指名することができます。
〔お断り〕
1.読者にできるだけわかりやすい言葉で説明します。
そしてサイトオーナーは税理士ではありませんので、
法律用語としては正確でないことがあります。
不明な点や詳しい内容については
「海外駐在・移住税務ハンドブック」から確認してください。
2.日本国籍を持つ人を対象に説明します。
3.田邊税理士より、海外駐在・移住ガイドブックに
説明のない情報をいただき
〔追加情報〕として説明しています。
まず海外在住者にとっての日本の所得税、
相続・贈与税についてのメリットをまとめます。
T.海外在住者(非居住者)と日本の所得税
1.非居住者の定義
1年以上海外に滞在するため市町村役場で
海外への転出届けを出した人は「非居住者」になります。
その他、海外旅行に出かけた人が1年以上旅行を続けると
1年後以降に「非居住者」になります。
ただし税金面で海外在住者のメリットを受けるには、
単に住民登録を抹消するだけでなく、
実際に海外に住んでいることを示す必要があります。
〔追加情報〕
「生活の本拠(=住所)」が日本国内にない
ことが前提です。
〔参考情報〕
2006年ハリーポッターの翻訳者松岡佑子さんの
所得税に関して、住所がスイスか日本かが
問題になりました。
→ 参考URL 税理士法人わかば
国際税務ニュース こみみはふくみみ
2.海外在住者(非居住者)の
日本の所得税のメリットなど
外在住者(非居住者)は、日本在住時の
税負担と比較すると軽減されることがあります。
そのため住む国の物価水準にもよりますが、
外国人として生活するためにかかるコストを含めても
経済的に余裕が生まれることがあります。
以下にいくつかのポイントをあげます。
(1)日本国内で発生する所得からの
源泉徴収だけになります。
だたし不動産収入は日本で確定申告が必要です。
(当然ですが固定資産税もかかります。)
また居住者のように源泉徴収で払い過ぎた部分を
確定申告して取り戻すことはできません。
〔追加情報〕
<源泉徴収で課税関係が終了する所得(非居住者の場合)>
所得の種類 課税方法
日本の銀行預金利子 「15%」の源泉分離課税
日本の上場株式の配当金 「7%」の源泉分離課税
(平成23年12月31日まで)
(日本の未上場株式の配当金は「20%」の源泉分離課税)
日本の株式の譲渡益 原則、非課税
(事業譲渡類似株式、国内滞在中の株式等の譲渡は
「15%」の申告分離課税)
日本での給与 原則、非課税
(国内勤務の対価は「20%」の源泉分離課税 また、
日本法人からの役員報酬も「20%」の源泉分離課税)
※租税条約の軽減税率が適用される場合があります。
※株式の譲渡益は、原則、非課税となります。
そのほか事業所得など源泉徴収されない所得は
確定申告をして納税する必要があります。
なお、使用料など租税条約で
免税とされている所得については
実質的に非課税となります。
そのほかの源泉徴収されない所得については
実質的に非課税となります。
〔追加情報〕
【非居住者の不動産関係の所得、確定申告とアドバイス】
不動産関係の所得は源泉徴収されたうえ
確定申告が必要となります。
源泉徴収で取られ過ぎた分は、居住者と同様
確定申告により取り戻すことができます。
不動産関係の所得は確定申告が必要となり、
所得計算自体は居住者と同じですが、
住民税がかからないため、
・不動産所得は最高で40%
(居住者の場合50%)、
・不動産譲渡所得で長期の場合は15%
(居住者の場合20%)、
・短期の場合は30%
(居住者の場合39%)
となります。
それ以外の所得は10%〜20%の税率で源泉徴収され
課税関係が終了するものが多いです。
日本株のキャピタル・ゲインや日本国債の利子などは
非課税となるほか、住民税もかかってきません。
<非居住者の確定申告>
・国内源泉所得のみ課税
つまり不動産所得、不動産譲渡所得以外の
ほとんどの所得が源泉徴収で課税関係が終了します。
【アドバイス】
非居住者なってから含み益のある資産を売却すると、
節税になります。
(居住地国の税制を事前にチェックすることが必要です)
【不動産所得の確定申告】
・賃料収入の20%が源泉徴収されます
(但し、賃借人が個人で居住用の場合は不要)
・確定申告による総合課税
(住民税が課税されないため、最高40%の累進総合課税)
・所得控除が3つに制限される
(基礎控除、寄附金控除、雑損控除のみ)
【アドバイス】
不動産所得・不動産譲渡所得は総合課税のため、
不動産を法人所有にするなど事前の対策により
節税になります。
(居住地国の税制を事前にチェックすることが必要です)
(2)租税条約を結んでいる国に住んでいる場合、
日本で支払った源泉徴収額を考慮して納税額を調整します。
3.海外在住(非居住)者の主な所得に関する税金
(1) 日本の給与所得
〔追加情報〕
給与所得については、勤務地国課税が原則と
なりますので、日本で支払われる家族手当などは、
日本で課税されることはありません。
(日本法人の役員である場合を除く)。
(2)日本の公的年金
日本年金機構に海外在住(非居住)になることを
申告する必要があります。
非居住者として源泉徴収され、その後
住んでいる受取った国で所得税を納めます。
ただし、国によっては
・住んでいる国での所得だけに税金がかかる
賦課方式(領土主義)である
・年金から税金を取るシステムがない
ため、住んでいる国で日本での収入を受取っても
税金がかからないことがあります。
(例:シンガポール、マレーシア)
〔海外在住者の厚生年金源泉徴収例〕
2ヶ月ごと40万円(月当たり20万円)の年金を支給される人の場合
(40万円-6万円×2ヶ月)×20%=5.6万円
が源泉徴収されます。(手取り約34.4万円)
※住んでいる国で日本での年金所得に税金がかからないなら
日本での源泉徴収以外は非課税となります。
〔参考情報〕
日本居住者として公的年金を受取ると、その他の所得と合算して
所得税、国民健康保険税がかかります。
ところでたいていの国の民間医療保険は日本の国民健康保険ほど
高額負担ではありません。
(3)日本株式の配当
・未上場株式:20%の源泉徴収
・上場株式 :7% 〃
(4)預貯金の利息:15%の源泉徴収
※地方税はかかりません。
(5)受取家賃:家賃の支払者がもっぱら
自己または親族が住む場合
家賃から必要経費を差し引いて確定申告します。
(6)日本の株式売却益:原則非課税
(7)日本の不動産売却益:
居住者と同じ課税、ただし住民税は非課税
(8)ストックオプション:給与所得扱い
海外駐在・移住税務ハンドブックの購入は、
以下の画像をクリックしてください。
海外送金・海外投資の税金対策、
税務署からのお尋ねえの対応と海外口座のトラブルは
→ 『海外送金.com』まで
※追加情報をくださった田邊税理士のサイトです。
U.海外在住者と日本の相続税・贈与税
非居住者として海外在住が
「制限納税義務者」となります。
(
日本在住者と同じ扱いになります。)
→2017年税制大網
→国税庁HP No.4138 相続人が外国に居住しているとき
※平成29年4月1日以後適用されます。
【「制限納税義務者」のメリット】
○ 相続税
被相続人(遺産を残す人)、相続人(受取る人)の
両方が海外在住
相続税は日本国内の財産のみが対象になり、
海外の遺産に対する課税は
その国の法律に従うことになります。
また5年超海外在住(非居住)者の親が支払った
海外の保険を、同じく5年超海外在住(非居住)者の
制限納税者が受け取っても
日本の相続税の対象には含まれません。
○ 贈与税
贈与する人、受ける人の両方が海外在住
財産の贈与については、その国の法律に従って
課税されます。
参考URL 国税庁HP
No.4138 相続人が外国に居住しているとき
ところで国によっては
・相続税や贈与税がない国
・相続税や贈与税が日本より低い税率
ということがあります。
(例:シンガポール、マレーシアは
相続税、贈与税はありません。)
〔サイトオーナーの追加情報〕
1.日本⇔アメリカ、イギリスとの間で
相続税の調整ができます。
日本は遺産を受取った人が相続税を納めますが、
アメリカでは遺産を残した人に対して
相続税が課税される仕組です。
親がアメリカで財産を残して死亡すると、
日本の相続税が関係する子供がいる場合
日米双方で相続税を納めることになりますが、
この取り決めで調整することができます。
2.海外在住者は以下の平成24年度税制改正の対象外です。
〔平成24年度税制改正の一例〕
日本の居住者が毎年12月31日時点で5,000万円超の
海外預金口座・不動産・株式などの国外財産を
保有していると所轄の税務署への申告が
義務付けられます。
→ 参考情報 海外送金.com
海外資産が5,000万円超は報告・申告が義務付けられる
3.今後さらに相続・贈与税が厳しくなる可能性があります。
例:外国籍の子どもや孫に対する課税強化など
参考URL BLOGS
日本人は相続税から逃れられないのか?
相続・贈与税の関する制限納税者のその他メリットなど
1.相続税については「小規模宅地等の特例」が
海外の不動産にも適用されます。
※参考URL 国税庁HP (小規模宅地等の特例)
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例
この特例は、海外の不動産にも対象になります。
ただし、相続開始3年前以内に日本国内にある
自分または配偶者の所有する家屋に住んでいないことが
条件になります。
〔参考情報〕
贈与税については
@海外の不動産は、夫婦間での居住用不動産の特例には
含まれません。
(国内の不動産のみに適用)
→ 国税庁HP
No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
A親子間で不動産取得の非課税特典には
海外不動産は含まれません。
(国内の不動産のみに適用)
→ 国税庁HP
No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
B65歳以上の親から20歳以上の子へ贈与を
相続時の課税を選択する
相続時精算課税(特別控除2.500万円)は、
海外の不動産購入にも
適用されます。
→ 国税庁HP No.4103 相続時精算課税の選択
その他の情報
国外財産の贈与を受けた場合の相続時精算課税の適用
受贈者が外国に居住している場合の相続時精算課税の適用
海外在住者にとっての所得税、相続・贈与税は以上です。
各国別の詳しい情報は、
海外駐在・移住税務ハンドブックの要約(各国編)
をご覧ください。
海外送金・海外投資の税金対策、
税務署のお尋ねへの対応と海外口座のトラブルは
→ 『海外送金.com』まで
※追加情報をくださった田邊税理士のサイトです。
海外駐在・移住のための税務ハンドブックは、
以下のリンク先から購入できます。
アマゾンで売り切れのときは、
楽天からも購入できます。
【送料無料選択可!】Q&A海外駐在・移住のための税務ハンドブック (... |